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Ⅰ LGBTQ(性的マイノリティ)について/⑦〈RainbowDooRしずおか〉代表 後藤理玖さんによる当調査の所感(令和3年度 調査研究事業「若年層を対象とした性の多様性に関する意識」)

2022年03月30日

⑦「RainbowDooR しずおか」後藤理玖さんより、当アンケート調査について所感を寄せていただきました。

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 性的少数者にとって、中学高校時代は様々な葛藤に直面する時期でもあります。
今回、中学生、高校生に向けてお話をさせていただくにあたって、この中にいるであろう当事者の生徒さんが、自分自身を肯定し、将来に希望を持つことができるようなメッセージを伝えたいと考えてお話しさせていただきました。人と違うことは個性でもありますが、一方でコンプレックスになってしまうことがあります。私自身も中学校時代に、自分はみんなとは違うんだ、「普通」とは違うんだと自己否定してしまった経験があります。このことは性的少数者だけでなく、身体的特徴や障害、家庭環境、人種や国籍など、あらゆるマイノリティにも共通する悩みかもしれません。

自分が何者なのかを意識しはじめる中学高校という時期には、一日の大半の時間を過ごす学校という場所が、他の「普通」の同級生と比較をしてしまう、居心地の悪い場所になることもあります。だからこそ学校は、一人ひとりの多様性を尊重しあえる場所、誰もが自分らしく過ごせる場所になってほしいと願っています。

今回、大学生の皆さんからも、当事者の生徒の気持ちを想像した感想を寄せていただき、そう考えてもらえる人が増えていけば、社会全体が誰にとっても生きやすい場所になっていくのではないかという希望を感じました。

当然、大学にも当事者の学生はいるでしょうし、当事者サークルの活動も多くの大学で行われています。当事者やその理解者が声をあげて、問題を解決していくことはとても重要です。一方で、様々な事情で当事者であることをオープンにできない人も数多くいると思います。私は必ずしも、当事者がオープンにするべきだとは思いません。カミングアウトするしないは、あくまでも本人の意思で決めるべきです。大切なのは、オープンにしていない当事者が身近にいるかもしれないという想像力を周りが持つことだと思っています。そしてその理解者の存在は、当事者にとって何よりも心強い存在になると思います。今回アンケートにご協力いただいた大学生の皆さんにも、ぜひ身近なところから一緒に取り組んでいただけたら嬉しいです。

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「RainbowDooRしずおか」
静岡県東部(沼津市)を中心に、セクシュアリティに悩む当事者が、身近で気軽にアクセスできる活動に取り組む。
活動内容は居場所づくり事業、相談事業、啓発・研修活動。

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