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地元のハンサムウーマン④~地域力を高める女性たち~久保田翠さん(NPO法人クリエイティブサポートレッツ理事長/浜松市)

2016年04月08日

久保田さん
久保田翠さん
●「生きる力」「自分を表現する力」を見つめる
浜松市にある「クリエイティブサポートレッツ」の活動は、障害者福祉施設という枠を超え、私たちの社会にある既存の価値観を揺さぶる。「レッツ」が発信しているのは、「アート」を通した“人間とは何か?”“人間の幸福とは?”“人間が生きる意味は?”という私たちの存在の根本に関わる疑問だ。「レッツ」に出会った人は、この疑問を目の前に突き付けられる。それは「レッツ」を立ち上げた久保田翠さんが向き合ってきた、人生と社会に対する疑問そのものだ。
久保田さんが「レッツ」を構想するきっかけとなったのが、今から19年前、第2子である長男が生まれた時、その子に障がいがあったこと。息子を育てていく中で社会からの疎外感を感じた。そしてとにかく、自分自身と息子が幸せに生きられる“居場所”をつくろうと思って始めたのが「レッツ」。 設立当初から、人間が本来持っている“生きる力”“自分を表現する力”を見つめる場を提供、それを通して、障がいや国籍、性差、年齢などあらゆる“ちがい”を乗り越え、全ての人々が互いに理解し、分かち合い、共生することのできる社会づくり「ソーシャル・インクルージョン」を目指している。
「レッツ」の活動の主軸となるのが、「アート」だ。久保田さんにとって「アート」とは、社会の既成概念を壊すもの。障害者福祉施設の現場はすごくクリエイティブなことが生まれている場所で、創造と知の拠点だと感じている。
レッツ
「アート」を通して自分らしく生きる!
久保田さんは語る。「世界に訳の分からないものは沢山あり、そもそも人間の人生も訳の分からないことだらけ。それにもかかわらず、訳の分からないものを人 は嫌います。今の世の中、ひとつの価値観に人間を押し込めることで、キレイに整頓された“正解”を求めすぎなのでは。人生や社会の在り方に、“正しい答 え”なんてありません。答えがないにもかかわらず、答えを求めていることが根本的におかしいと思います。その世界の訳の分からなさを生々しく見せるのが 「レッツ」の現場です。こうした、何が起こるかわからない場所や、混沌としている場所だからこそ何か新しい概念が生まれてくるのではないでしょうか。そし て、それが「アート」だと思っています。障害者福祉施設には、社会に対し新たな価値観を提示することができる可能性を感じています。」