★当事者の声を拾える存在でありたい
12年前三女を出産した頃、富士宮市内でお産できる施設は3か所だけに減ってしまっていた。どの産婦人科もいつも非常に混み合い、満足のいくお産ができないと母親たちは不安を感じていた。「こんなはずではなかった」と感じて出産した母親たちが、辛い思いを抱いて子育てをスタートさせていることに危惧を覚えた。病院や医者を増やすことは自分にとって難しいが、母親たちの意識を変えていくことはできるのではないか、妊娠・出産・子育ては、母親が主体的に考え、選び、実現していくことで納得のいくものになりうるというメッセージを送りたいと考えた。
2008年に「母力向上委員会」を立ち上げてから10年近くたつ。「妊娠・出産・子育てをプラスにしよう!」というスローガンを掲げ、主に0才~3才児を持つ母親を対象に、講座、座談会、イベント、情報発信などを行う。家にこもりがちな時期の母親たちに、各種催し物に参加してもらうことでお互いに出会う場を作り、さまざまな情報を提供する中で、いろいろな考え方、生き方を伝えたいと考えている。そしてそこから、将来的に彼女たちの活躍の場が生まれるような道を作るのが目標だ。
現在、地元の企業にアプローチし、子育て世代に必要なサポートや、母親たちがいかに意欲的かつ柔軟に働けるかをアピールしている。今まで母親たちを力づけることで、出産・子育てがしやすい社会、彼女たちが輝ける社会を目指し活動を続けてきた中で実感するのは、母親たちだけにメッセージを届けるのではなく、社会を構成するすべての人に理解を求めなければ世の中は変わらないということ。そのために、企業の方針や考え方をはじめ、男性の生き方、価値観なども理解し協力を得ることが必要と考える。
いつか富士宮市から、日本全国、世界へ向けて、“妊娠から切れ目のない支援”の成功例を発信したいと思っている。少子化対策や女性活躍推進施策は単に出生率や管理職に占める女性の割合を増やすだけでは意味はなく、いかに幸せな子どもたち、女性たち、男性たちの数を増やすかが重要で、それが地域や国の活力になると信じている。