『オーランドー』 司書日記 2021/5/26  【図書室】


今年から始まった「司書日記」。
気になる本の紹介や、日々の業務のことなど、あざれあ図書室の司書たちが綴っていきます。

 

 

2021年5月26日(水)

 

ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』が、映画『オルランド』として上映されたのは、1992年。

貴公子のオルランドが昏睡状態から目覚めると女性に変わっていた、という内容に惹かれて観に行った。
中世貴族のお話なので、衣裳やセットは絢爛豪華。内容もとても斬新な映画だったが、
当時は、原作も作者も知らなかった。

男性から女性に変わったオルランドは、その後も時代を変え場所を変え、女性として存在し、自立しようと奮闘する。
400年後の現代では、オルランドが子どもとお揃いのライダースーツを着て、バイクに乗っているシーンで
映画は終わる。よほど印象的だったのか、今でも脳裏に焼き付いている。

オルランドを演じた俳優さんが、性別を超えた存在感でとても魅力的だった。
「中性的」という事柄に敏感になっていた時期でもある。

オーランド―

原作『オーランドー』(1928年)は、ヴァージニア・ウルフから恋人ヴィタ・サックヴィル=ウェスト
へのラブレター。夫のいたヴァージニアは、同性のヴィタに惹かれて付き合う。ヴィタが先祖からの家屋敷を失い、
それを慰めるために書いたとされる作品。性別を超え、時空を超えたオーランドーはヴィタである。
叶うことのない、果てしない愛を感じる。

(『オーランド―』はあざれあ図書室に所蔵)