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特集:女の起業とマネジメント この人に聞く!  道喜 道恵さん(一般社団法人 ハーサイズ代表理事)

2018年04月03日

★「私サイズ」の起業を応援!
道喜さん2015年、浜松市で「『私サイズ』の女性の起業とチャレンジを応援する!」のミッションを掲げ、一般社団法人ハーサイズをスタートさせました。その4年ほど前から「女性の起業」に特化したセミナーを毎年開催し、そのセミナーを受講した女性たちを中心としたイベントを成果発表の場として開催していました。
このように、起業を目指す女性、起業して間もなくの女性が、起業に関する基礎的な知識を習得したり、すぐに実践できるノウハウを身に付けたりできるように、画一的な起業支援ではなく、それぞれの女性がそれぞれのライフサイクルやライフスタイル、価値観に沿って  「私サイズ」の起業を目指せるための支援をしています。
浜松市を拠点としていますが、最近では、藤枝市や磐田市など、お声の掛かるところに行っては、女性のための起業セミナーや起業に関する支援サービスを行っています。
「女性の起業の特徴は何ですか?」とよく聞かれます。
私は女性の起業支援に関わってきて約20年になりますが、その特徴の一番は「女性が起業する際に、時間、お金、ノウハウに制約がかかる」ということです。例えば、子育てや介護など、家族が優先になりがちな女性たちの中には、そもそも就労経験が少なかったり、就労経験があっても責任ある仕事や役割を与えられなかったりして、仕事に必要な社会的、実務的な知識やスキルを向上させる機会が不足している場合があります。
そのため、通常の起業・創業支援を受けると、いきなり「事業計画書を作成しよう!」「お金の借り方はこうです!」「そんなのは起業ではない!」と言われ、「あぁ、私にはハードルが高すぎる」と、せっかくの起業意欲が削がれてしまう女性が数多くいます。そこでハーサイズでは、起業支援のみに重点を置くのではなく、そのような女性たちが、自信を持って社会に出て活動していき、ネットワークを作り、社会との関わりの中で自己実現できるようなトレーニングを盛り込むことで、女性の自立支援という面にもフォーカスした取組みをしています。
★「私サイズ」の起業の現状と課題
ハーサイズセミナーの様子
最近は昔とくらべ、手軽に起業しやすい環境があります。20年ぐらい前までは、店舗を構えることが起業の定番でした。現在では、場所を借りてセミナーやお教室を開催したり、ネットショップやイベント出店で物販ができたり、自宅サロンや自宅教室を開いたり、少ない資本で始められる「小さな起業」が多くみられます。業種としては、ベビーマッサージやアロマセラピー、エステ、ヨガなど、その年によってトレンドは変わっていきますが、なんらかの資格を取ってそれを活かして起業したいと考える女性が最近多いようです。
どんな分野で起業したいか。それはお一人おひとり違っていいのですが、常日頃お話ししているのは、「1円でもお客様からお金をもらったら、それは起業活動であり、お客様に対して責任がある」ということです。
また、「自己管理」と「お客様の視点」を忘れずに、ということをお伝えしたいです。「自己管理」とは、自分の時間を知ることから始まります。家事や育児、介護など、ライフサイクルで自分時間を左右されてしまう女性にとって、自分の起業活動にあてられる時間はわずか。やるべきこと、やらなくてもいいことを判断し切り分け、やるべきことは優先順位をつけてやるべき時にやる。ひとり起業だからこその自己規律と時間管理が必要です。「お客様の視点」とは、自分の強みを客観視し、その起業活動がいったい誰に向けられたものなのかを明確にすることです。自分が売りたいものを他の人が買いたいと思うとは限らない。商売は顧客ありき。あなたが生み出す商品やサービスに、お金を払ってくれるだけの価値をお客様が見いだせなければ成立しません。この2点で、起業家として、誤解や甘さが見られるのは否めません。あとは長期的なビジョンと人のアドバイスを受け入れられる素直さでしょうか。
ハーサイズではこれからも、起業支援、女性自立支援の両面で、女性たちが励まし合いながらさまざまなことにチャレンジできるよう後押ししていきたいです。